ぶらり、大山 〜大山の不思議と素敵を語る〜 大山開山1300年祭 特別コラム

[第42回]レガシー・オブ・大山開山1300年祭

大山開山1300年祭は、大山信仰の中心・大山寺が718年に開創されて1300年を迎えることにちなんで挙行されました。その大山寺で、紅葉に染まり始めた10月24日、3年間の記念行事を締めくくる「結願法要(けちがんほうよう)」が営まれました。2年前の5月、新緑に輝く中での「開白法要(かいびゃくほうよう)」に始まり、メインイヤーとなる昨年は盛大に「開創法要(かいそうほうよう)」を開催。そして今年は最終年ということで、 “未来に願いを結ぶ” 法要でフィナーレを飾りました。一連の法要、そして関連して企画された多くのプログラムは、1300年の歴史・信仰を振り返り、そして次の100年、1000年に向けて、私達の地域の心に刻まれたシンボルでもある大山の存在をこれからの時代へと伝えていく、「大山人(だいせんびと)」の大切な営みとなりました。
 

1_開創法要御輿行列.JPG

(写真1)開創法要(H30.5) 御輿行列


1300年祭では地域再発見や魅力創造など、様々な取り組みが行われましたが、その中で次世代にも引き継ぐことが出来る本物のレガシー(遺産)を見出すことができました。注目すべきひとつが大山山麓・日野川水系などで1000年以上前から営まれた「たたら」、そしてたたらによって作り出された優れた鋼を鍛造して作り出された、伯耆安綱に代表される「日本刀」という歴史文化遺産です。

 

2-2_大山開山1300年祭記念刀アップ用.JPG

(写真2)伯耆国「大山開山1300年祭」記念刀

 

これまでごく一部の方々の間では知られていましたが、米子市美術館で昨年夏に開催され、1300年祭の主要イベントの一つにもなった日本刀展「大山山麓の至宝―大山ゆかりの刀を中心に―」などを通して広く情報が発信され、多くの県民が知ることとなり、その価値の大きさへの気づきが生まれました。天下五剣に数えられる名刀にして、その筆頭ともされる国宝『童子切安綱』(現在、東京国立博物館所蔵)のふるさとが大山山麓であり、また大山山麓は日本刀の材料である玉鋼の一大産地であったという事実。それは、知るべくして知る、先人からの強力なメッセージでした。

さらに神風が吹くかのように。昨年1月、奈良の春日大社で発見された最古級の日本刀が「古伯耆物」(※安綱作の可能性もあり)ということが判り、全国ニュースとなりました。この情報を得て、鳥取県知事がすぐに春日大社に赴き、鳥取県と春日大社で『名刀「古伯耆物」日本刀顕彰連合』が発足しました。このご縁で、注目を浴びたばかりの「古伯耆物」が、日本刀展「大山山麓の至宝展」で里帰り展示されることとなり、全国から多くの日本刀ファンが当地を訪れることとなりました。

このレガシーストーリーは、さらなる盛り上がりを見せています。というのも、今冬、春日大社において安綱を初めとした古伯耆物の日本刀展が開催されることが決まり、この展示品の中に門外不出の至宝である国宝「童子切安綱」が出品されることになったということ。驚愕です。刀剣の世界ではこれまでありえなかったほどの画期的なことであり、相当の注目を浴びることは必至。さらに、童子切だけでなく国宝・重要文化財に指定された安綱・古伯耆物のほぼすべての作品が展示されるということで、日本の刀剣史上初の歴史的展覧会となります。

大山開山1300年祭をきっかけに始まった、時空を超えた壮大な “たたら~日本刀の歴史物語” が、まさに私達の大切なレガシーになりつつあります。このストーリーは、未来に向けてドラマチックに展開していくことでしょう。地域全体で、しっかり見届けたいと思います。


 <「最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展」>

  会期:令和元年12月28日(土)~令和2年3月1日(日) ※展示替休館1/27~1/31
  会場:春日大社国宝殿(奈良県奈良市)
  ※詳細にはコチラの公式サイトをご覧ください。 >>> https://kasugakatana.com/

 

                                         (BUNAX)

 

上に戻る