ぶらり、大山 〜大山の不思議と素敵を語る〜 大山開山1300年祭 特別コラム

[第27回]海越しの大山 大型クルーズ客船のハイライト

1、美保関から望む海越しの大山.png

  近年、境港に寄港する大型のクルーズ客船が増えてきました。今年度(2019年)は57回の寄港が予定され、乗客定員数では約8万6千人(外国人客が中心)になるということで、こんな海越し(美保湾越し)の大山が多くのクルーズ客に強く印象付けられることになりそうです。

 「東の富士山、西の大山」と表現されることがありますが、まさに外国人にとっては富士山のように日本を実感する風景となります。明治以降は太平洋側が日本の玄関的な役割を担っていますが、古代より近世までは日本海側が日本のゲートウェイで、大陸との交易、交流の玄関口の役割を担っていました。その際の目標(ランドマーク)は大山だったと言っても過言ではないでしょう。当時の航海は、常に陸上の特徴的な山などを目標物にして自船の位置を確認していましたが、大山は遠くからも望むことができ、最高の目標物であったことは間違いありません。

  また、島根半島が堤防の役割を果たしていることもあり、南側の入海(中海、宍道湖)は平水面が中心の海域で、船で楽に移動できました。その海域からはどこからも東に大山が見え、船乗りたちはあたかも大山に護られているかのような安心感をもって船を操ったに違いありません。

 古代は"命懸け"で大陸から大山を目指してやってきましたが、今は揺れることのない大型クルーズ客船で"命の洗濯"をしながらやってきます。朝、目が覚めると目前に朝日をバックにした"シルエット大山"が歓迎し、そして出港する頃は夕日に染まる"紅大山"が歓送。さぞかし印象深い寄港地となることでしょう。

2、境港に寄港中の客船ノルウエ-ジャン・ジュエル.png

 写真は昨年4月22日に境港に初寄港した大型クルーズ客船・ノルウェージャン・ジュエル(9万3500トン)。この船は上海発横浜行きの12泊13日のクルーズ。乗客はほぼ外国人、前港は大連ということで、まさに絵にかいたようなインターナショナルクルーズでした。今年は4月2日から次々クルーズ客船が寄港しますが、4月24日には「海の女王」として世界的に知られる豪華客船"クイーン・エリザベス"(9万901トン)が入港予定です。また世界最大級の客船、クアンタム・オブ・ザ・シーズ(16万8666トン)が6月以降4回も入港する予定になっています。これだけでも大変な驚きですが、来春には夢みなとタワーの隣接地に新しい貨客船ターミナルが完成し、さらに多くの大型クルーズ客船がやってくることが想定されているということ。新元号とともに時代が大きく変わっていく。そんなことを実感する年となりそうです。

3、大山の山頂付近から飛鳥Ⅱを望む.png

大型クルーズ客船はほとんどが白い船体ということもあり、大山山頂からも船を視認することができます。写真の白い船は日本を代表する客船の飛鳥Ⅱ。朝日に照らされた船体が光を放っているようです。今年の8月27日はこの飛鳥Ⅱも入港が予定されていますが、この日に登山をした人はこんな風景に出会えることでしょう。

4、美保関五本松公園のツツジと大山.png

 輝きの季節、島根半島東端の美保関・五本松公園では4月下旬、5000本のツツジが一斉に咲きだします。ダイナミックなパノラマと満開のツツジは見事なコンビネーション。この時期、ここでしか見ることのできない、とっておきの風景です。抜けるような青空のもと、海越しの大山は新緑に彩られ、花は咲き乱れ、心地よい海風が頬を撫でる…、是非、お出かけいただきたい価値あるビューポイントです。4月24日には、そんな風景の中を進む「海の女王」クイーン・エリザベスを入れ込んで写真を撮ることができるかもしれません。トライしてみる価値がありそうですね!?

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