ぶらり、大山 〜大山の不思議と素敵を語る〜 大山開山1300年祭 特別コラム

[第25回] 「冬から春へ」~冬から春への自然のうつろい~

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 今年の冬は積雪が少なかったとはいえ、まだ多くの残雪が見られる大山のブナ林では、季節が冬から春に変わるこの時期ならではの動植物の営みが見られる。そのいくつかを紹介しよう。

不思議な虫

雪上に目を移すと、体長が1センチにも満たない黒い虫がせわしなく歩いている。クロカワゲラの仲間、セッケイカワゲラ(雪渓川螻蛄)である。雪中の藻類などの微生物を食べて生活している。俳句では雪虫として、春の季語になっている。

動物の足跡

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 雪上に残された動物の足跡は、大きさ、形、歩き方がさまざまである。一直線に歩くキツネ、蛇行するタヌキ、足跡がT字形のウサギなど、足跡から森に棲む動物を知ることができる。

春を告げる花たち

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 大山の横手道などを歩くと、多くの木々がまだ冬の眠りについている中で、あちらこちらで黄色のマンサクの花を見る。この名は、花が早春にまっ先に咲くので、「まず咲く」がなまったとか、この花が枝いっぱいに咲くので、「豊年満作」からつけられたといわれる。
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  大山寺から元谷の方へ向かうと、他の木々がまだ芽吹いていない林の中で、枝に黄色花をたくさんつけた低木に出合う。ダンコウバイ(檀香梅)といい、その花はまるで小さなボンボリのようにかわいらしい。クスノキ科の木で、枝や葉には芳香があり「香ばしい」からその名がついたといわれる。
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 また、白いハンカチが木にかかっているように見える小高木を見かける。灰色のモノトーンの落葉樹林の中にあって、その純白で清楚な花はよく目立つ。この木はタムシバといい、花は雪解けとともに開花する。タムシバは、モクレンや低地でよく見かけるコブシと同じ仲間で、花や枝葉には芳香がある。

この時期ならではの自然の姿は、厳しい冬から開放された喜びを表しているようにも見える。

ひめぼたる

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